麻の着物

夏まで生きていようと思った。そう思いながらなんとか生きている人間の観劇とか読書の記録。

沖田総司が女だったくらいじゃ時代は変わんねえよ(「新・幕末純情伝」FAKE NEWS 感想)

今更ですみません…。

今年の夏は新・幕末純情伝と刀ステを繰り返していた気がします。

7/7(土)ソワレ
7/10(火)ソワレ
7/26(木)ソワレ
7/29(日)マチネ
7/30(月)マチネ

 初演から千秋楽を駆け抜けて

やるほうはもっと大変だと思うんですけど、通うのもゆうて5公演でもかなりたっぷりだったな…という印象でした。
それは、このお芝居が基本的に笑いのシーンも含めて疾風怒濤の渦の中に放り込まれたような舞台だったからなのだと思います。

初めてのつかこうへいの芝居

名前だけは知っていたつかこうへい氏。実は今年の「熱海殺人事件」を見にいきたいな…と思うだけ思って行かずに終わっていたのでした。

しかし、今回の味方良介さんの龍馬を見て行けばよかったなという後悔が深まりました。去年「幽劇」を見た際に舞台としては「…んー」だったんですけど、味方良介という役者と出会わせてくれたことには花丸だと思ったのは間違ってなかった。

後述するところでもあるのですが、素直な感想として亡くなってから8年が経ち、どこまで彼のエッセンスであるのかと感じる部分もあります。ただ、キャストのみなさんが一様に口にする通り、台詞の強さ・言葉の重さが一番の特徴なのかなとここから入った人間は思いました。

一方で、物語や設定は結構雑な部分もあり、そこが気になると気になるだろうな…とも。ただ、本当に1回目は台詞に圧倒されて意外と何も気づかないので、冷静に見れるのも5回見たからだなと思います。

桂小五郎元気だな

推しの話をします。

初日は全体的にどのキャストも固めで、各メディアでばんばん話題になった北原里英さん(as総司)の胸をもみしだくようなシーンも色っぽさはありつつまだまだこれからかなーと思ってました。

しかしなんだろう…。

見れば見るほど新撰組の前でどんどん元気に面白いことをやる桂になっていて私はびっくりしました。特に10日と26日で結構空いたので…。

この手の舞台、だんだん公演進むにつれて遊びが増えるのはわかってたんですけど、ほんと桂はなんか「大丈夫なんですか!?」って誰かに聞きたくなりました。私は大丈夫です。

ただ桂が遊びの部分で元気になればなるほど、彼の暗い表情にギャップが生まれて良かったと思います。桂はとても人間的な優しさと浅ましさを持っている人物だと思います。初日は悪役としてのスタンダードなひどさに目が行きましたが、公演が進むにつれて深みが出てきたところに私の推し最高という言葉に尽きました。

あの話題の胸をもみしだくシーンなんですが

センセーショナルなんだけど、役者名で「○○が××の胸を揉む」って書くのは各社やめません!?ドキッとするから!*1

しかし、このシーン面白いなと思ったのは桂が総司を愛撫するように見えてすぐに突き放すのがこのシーンなんですよね。総司がいろいろな男性と関係を持つことは語られるけれど、意外と直接的なシーンはない。(桂とも関係を持っていることは語られますが、このシーンより後)

当然ながら龍馬ともキスシーンしかないというのがなんとも面白いな…と思いました。露骨なシーンほど本当にあったことではなくて、語られないシーンこそが本当にあったことということなのかな?とサブタイトルの「FAKE NEWS」から深読みしてみたりもしました。

沖田総司が女だった!には夢も希望もない

千秋楽で突如「次回予告!」始まったのに「舞台K!」ってなりました。*2

新・幕末純情伝ではお約束だと知ったのは後の話。

一応私の理解では、つかこうへい氏の作・演出「幕末純情伝」があり、それを大幅にリライトした「新・幕末純情伝」が氏の存命中に上演されて、そのバージョンが今に至るというものなんですが合ってますでしょうか。というあたりの話がいろいろ調べてもなかなかわからず、できればパンフレットとかで書いてほしかったな…とつか作品初心者は思いました。

千秋楽で突然行われた「新幕末純情伝2」の次回予告では味方良介がペリー提督を演じ、北原里英坂本龍馬を演じる。

坂本龍馬は女だった!」

 

絶対そのほうが面白いだろー!?

 

と、その時客席にいた私は思いました。

「新・幕末純情伝」は1人の女性を描いた悲劇として面白くて、沖田総司が女であっても、大きな歴史は変わらないというそんな無常観があります。女であって、さらに言えば帝の娘であったとしても、男たちの歴史に飲まれていくのが、現代に生きる女である自分にとってはやや時代遅れの物語にも感じます。龍馬も時代を変える人間であり、作中では女性に参政権を与えよという革新的な人間ですが、現代から見たら女性の扱いは古すぎる。

となれば坂本龍馬が女だったらかなり面白いのでは?

そんなわけで、公演終わってからつか氏の戯曲を読んで目ん玉落ちるかと思うほどびっくりしたんですね。

「新・幕末純情伝」の物語としてはこれでよかったですし、時代背景を考えても同じ脚本でずっとやり続けるのも違う作品だなと思います。ロマンスとしてはえええ…って思ったので、「新~」のほうが納得いくのも事実。

ただこうしてみると見比べることができたらなあと今更ながらに思ってしまうのでした。演劇の悔しいところですね。

*1:舞台上じゃなかったら大変なことですよ

*2:むしろ刀ステ悲伝の千秋楽で次回予告あったらどうしようってこの頃毎日思ってた