麻の着物

夏まで生きていようと思った。そう思いながらなんとか生きている人間の観劇とか読書の記録。

舞台『刀剣乱舞 結いの目の不如帰』京都公演感想

6/20 マチネ

すでに福岡・東京公演も終わったタイミングでなんですが、二度目に見た刀ステの感想を残しておきたいと思います。

なお、ネタバレあります。

 

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悲しくも愛しい物語(舞台『刀剣乱舞 結いの目の不如帰』)

明治座特別公演 6/3マチネ

明治座で見て、もう一回みたいな…と思って当日券狙いでとりあえず京都に行く算段をつけたところ、機材席開放の当日引換券が買えました。もう一回見る前にとりあえず感想を残しておきます。

 

これから見る予定のある方は是非フレッシュな気持ちで見たほうが良いかと思うので、下記読まれないことをお勧めします。

 

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過去から未来へ繋がるもの(ミュージカル『青春-AOHARU-鉄道』3~延伸するは我にあり~)

5/4ソワレ 5/5マチネ 5/13ソワレ

 

結局東京公演3公演でした。なんだかんだ推しの舞台あんまりチケットを取るのに困らないんですが、本当に取れなくて、新潟公演行きたくて行けなくてあとになってからツアーで申し込めばよかったなってちょっと後悔しました。

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推し作家からサインをもらうということ

ここ最近推し(俳優)との接触(チェキ)が多すぎて、推し(作家)の接触(サイン会)にどんな顔して行ったらいいかわからないよ~!

という冗談は置いておいて、米澤穂信先生のサイン会に行っきた。

 

私は小学6年生の時に今は亡きスニーカー・ミステリ倶楽部から発刊されていた『氷菓』と『愚者のエンドロール』を読んでハマったもう最古参と呼んでいいのでは?という米澤ファンだ。*1

その後中学生か、高校生か、その頃に『さよなら妖精』を読んで、この本は私の人生の中でも最も大切な本の一つになった。高校生の時は読書好きの友人とこの本の良さを語り合ったし、図書委員だったので高校の図書室にこの本を置いた。

そうして、受験やら何やらがあってさすがに全作品は追えなくなった大学生の私は、今は亡き某西武百貨店のカフェリブロで『蝦蟇倉市事件』を読んでいた。アンソロジー作品であるこの本を何の前情報もなく、好きな作家もいっぱい書いてるなーと思って読んでいた私はその中の米澤先生の短編「ナイフを失われた思い出の中に」*2で衝撃を受けた。そこにはあの『さよなら妖精』に登場する大刀洗万智がいた。

あんなに好きな作品だったのに、情報を追い切れてない自分*3に忸怩たる思いもありつつ、なんだか嘘みたいな気持ちで読み進めた。

そして、2015年に彼女を主人公とした『王とサーカス』『真実の10メートル手前』が発刊された。そこで『さよなら妖精』で高校生だった彼女は大人になっていた。私と同じように。

推理小説は探偵役とその助手役というスタイルの登場人物配置が多い。いわゆるシャーロック・ホームズジョン・ワトソンである。米澤作品もシリーズによって違いはあるが、この形を踏襲したものが多い。(『古典部』シリーズにおける奉太郎とえる、『小市民』シリーズにおける小鳩と小山内)*4

さよなら妖精』における探偵役は守屋、そしてワトソン役にあたるのはマーヤだろう。このシリーズはユーゴスラヴィアからやってきた少女マーヤが日常の謎を見つけ、そこから推理が広がっている日常の謎を取り上げた推理小説だ。そして後半最大の謎となるのが、日本を離れたマーヤがどの国へと帰ったのかということだ。そこにはすでにワトソン役であるマーヤはいない。

その時守屋とともに推理をするのが大刀洗だ。彼女はワトソン役というには一人で真実に迫り得る人だ。そして他の米澤作品におけるワトソン役のように彼に推理をする動機は与えない。最後まで動機を与えるのはマーヤだ。

さよなら妖精』を読んだことならわかると思うが、あの物語の後でなお日本で生きて行く彼らというのは、描かれないからこそ胸に残る。考えてしまう。

だから約10年の時を経てもう一度私たちの前に現れたのはタイミングとしてはちょうどよかったと思う。少女だった私は大人になってしまった。

「ここがどういう場所なのか、わたしがいるのはどういう場所なのか、明らかにしたい」

『王とサーカス』より

 

 

大刀洗は、迷いながら悩みながら、それでもジャーナリストという仕事に誇りと信念をもった女性として再び現れた。それは綺麗で、なんと希望のあることだろう。

 

今回のサイン会で一番良かったことは、そんな10年ぶりの再会への喜びを米澤先生に直接伝えられたことだ。

初めて拝見した米澤先生は優しそうな方だなと思った。私の震える言葉に深く頷いてくれた。同じように東京創元社のスタッフさんも頷いてくれて嬉しかった。

作家のサインが好きなのは、勝手ながらその本が私のために贈られたものだと勝手に感じられるからだ。一対一で。もちろん本というのはたくさん刷られてたくさんの人の手にわたる。そこには作家だけではなくたくさんの人の手が入っていて、それはそれで尊いものだと思う。

だけど、私にとって、私にとっての人生の一冊を、私のための本として、渡してもらえるサイン会はたまらなく嬉しい。ライトノベル系だと最近は色紙に書くことも多いので、それはそれで宝物だが、やはり私はサイン本を愛してる。

推し作家からサインをもらうことは、私の一冊を手に入れることだし、その感動を喜びを直接伝えられる機会でもある。

 

 

 

*1:手元の『氷菓』も『愚者のエンドロール』も初版本である

*2:『真実の10メートル手前』に収録

*3:読んだ時には発売から結構時間が経っていた

*4:ただ米澤作品においてはワトソン役は記述者でも相棒でもなく、探偵へ動機を与えるものという意味では他の作品と毛色がかなり違うので便宜上の呼び方だとおもってください

炊いて!(『ラブ米~I'll give you rice』)

4/28(土)マチネ

前作推しが米トークに出るからってうっかり行ったら、想像以上に楽しかったのでまた行った。

が!突然前日のアフターイベントのゲスト発表やめてください…。行けない人もいるんですよ…。(さすがに鉄ミュ近いし、アフターイベントの発表時にいなかったからないと思ってた…)

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わたしをつくるもの(「マレ・サカチのたったひとつの贈り物」)

私は演劇を見る人である前に本を読む人だったので、本の話を書こうと思っていた。思っていたのだけれど、いろいろあってなかなか読書に没頭する時間も取れなければさらにそれを噛み砕いて感想を書く気にもなれない日々が続いていた。

最近ようやく本を読む余裕が出てきて、久しぶりに大当たりの小説と出会ったので紹介がてら感想を記す。

いつもの観劇記録はネタバレ前回なのだが、今回はネタバレは控えめで(核心には触れず)いく。

 

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私が見送った2つ目のそして3つ目の青学の話

ミュージカル「テニスの王子様」という2.5次元の金字塔ともいえる超メジャー作品を、私が初めて見たのは2nd全国立海だった。

世代的にはテニプリにハマってる子が周りに多かったものの、立派なオタク女子だった私は何故かテニプリも通らず、そして高校までは東北の片田舎に住んでいたので舞台というものともとんと縁がなかった。

世代的には1stを見てた人が今となっては周りに結構いるものの、大学時代の友人はだいたい大学で関東に出てきて2ndから入った人が多かったように思う。今思うと結構テニミュの話は聞いていた気がするけれど、あの頃の私はまったく興味がなかったので何も覚えていない。勿体ない。

テニミュに足を運んだのは本当に偶然というか気まぐれで、大学時代の友人からの「チケット余ってるんだけど行かない?」という公演日3日前のメールがきっかけだった。当時社会人になってそこそこお金に自由が利いたし、何の予定もなかったし、その頃初めて2.5次元というジャンルの舞台を見て*1テニミュという2.5次元舞台の必修科目を一度浴びてみたいなという単純な興味だった。

テニプリは原作を一応一通り読んだことがあったのだけど、その頃の私はまったくはまらず、リョーマが記憶喪失になったり五感を奪われたりする記憶はあったものの、柳生と柳の区別がつかないレベルだった。今思うと不安すぎる。

それでも何も知らないまま飛び込んだTDCホール。友達から結構良席だったと言われて入ったアリーナ席。

今となっては名前も知っている、その後舞台で何度も見ることになるキャストのことを、私は何も知らずただただ目の前には「テニスの王子様」の世界が広がっていた。

あの時伸びるように澄んだ声で歌ったリョーマと、試合後にただ涙をこらえるようにして「ありがとうございました」と頭を下げる立海の姿、そしてカーテンコール後に弾けるように私たちにエールをくれる彼らの姿に運命かなって思うくらい魅了された。

それから3rdシーズンが始まって、私は自分でチケットを買って見に行った。今となっては私にとっても当たり前なのだけれど、そこに立っているリョーマは小越くんでもなく、青学はあの7代目ではなく、やっぱりほとんど名前もしらない若い男の子たち。最初はびっくりしたというか、テニミュは良くも悪くも成長を楽しむコンテンツだと聞いていたのだけど、全国立海で見たテニミュは想像の3倍くらい普通に上手かったので今は亡き旧日本青年館で3rdの不動峰を見た時はびっくりした。今だから素直に言うとめちゃくちゃ下手だった。

だけど、それでも舞台の上で彼らはきらきらしている。だから凱旋公演に行って、数ヶ月でまったく違うものを魅せてくれる彼らに私は胸を掴まれた。

そうやって私はテニミュというジャンルのファンになって、青学の8代目が私は大好きで、そして氷帝公演で初めて卒業というものを目の当たりにした。でも実は氷帝公演の千秋楽を見ても、私はまだ卒業という意味はあんまりわかっていなかったと思う。ずっと公演の最後、「またね」と言って袖に帰っていく古田リョーマが、最後は「バイバイ」と告げて去って行った。それがちゃんとわかったのは12月になって新青学を見てからだ。

9代目の青学はフレッシュで素直で眩しいくらいきらめいている。阿久津リョーマは古田リョーマとは全然違って、あどけなさと王子様感にびっくりした。びっくりしながらもうそこに私の青学がいないことが悲しかった。六角公演は自分でも驚くくらい新青学が受け入れられなくて、氷帝がいるということが支えになっていたところがある。あんなに頑張っていて、あんなにきらきらしていて、それなのに好きになってあげられなくて申し訳ないなと思っていた。

9代目の青学のことを好きになったのはドリライ2017だった。これというきっかけがあるわけではなく、ただ舞台の真ん中で歌うリョーマにいいな…と思って、気が付いたらふっと心の中の収まるところに収まったという感じ。青学はキャラクターとしては乾先輩が好きなのに、何故かテニミュでふっと心に刺さるのはいつもリョーマだ。

ドリライ2017は氷帝公演のナンバーもあって、青学は本公演で演じていない試合をそこで初めて演じている。それは私が氷帝公演で見たものとは違うんだけど、違っててもいいものだなと思えたので、ようやくこの時私は9代目を受け入れられたのだろう。

立海公演は六角の時と比べると見違えるようによくなって、この頃には完全に素直に9代目を応援していた。だからこそ比嘉公演とともに発表された2018年5月のドリライで卒業というのは早すぎると思った。やっと好きになったのに。

そんなわけでドリライ2017を見てきた。ここから本題です。

8代目が卒業する時よりもずっと落ち込んでいたのは一度卒業を経験したからかもしれない。でも本公演で卒業よりはドリライで卒業のほうがいいような気がする。前にどなたかの感想を見てはっとしたんだけど、確かにキャストは卒業だけど、青学の戦いはこれからなんだって。だからドリライというお祭りの場でバトンを渡すほうがいいのかもしれない。*2

テニミュ15周年って聞くと本当にびっくりする作品だと思った。でも何がすごいってこうやってキャストが変わっても、舞台の上はずっときらきらしている。見に行ったのが土曜日だったから、「Dream Liveへようこそ」という言葉の通り、最後まで夢をみさせてもらった気がする。キャストが代替わりしても、確かに違うのに、私の心を掴んだものは何も変わらないんだなということに私は安心してる。

青学9代目は本当にきらきらだった。8代目はなんだろう…。ツンとしてるのに妙なナイーヴさを感じるんだよね。

千秋楽後のツイートを見て逆に今はちょっと落ち着いているのですが、もう青学8代目も9代目も見たくない(辛いから)でもテニミュ見たいというわけのわからん気持ちになって、日曜日とうとう2年くらい封も開けずにおいてあった2nd全国立海のDVDを見た。

ずっと見れなかったのは、初めてみた時の感動と感激が今更見たら「大したことなかったな」って思うのが怖かったからだ。

結論から言えば全然覚えてなくて、たぶんあの時ほどの感激をさすがに家で酒を飲みながら見て感じるわけもなく、でも確かに円盤の中の彼らはあの頃のままだった。もうびっくりするほど覚えてなくて、それでも唯一記憶にあったのが冒頭に書いた「ありがとう 愛してくれて」と歌うリョーマと頭を下げる立海の姿だった。

しかしほんと今見るとキャスト知ってる人ばっかりでめちゃくちゃ面白いんですねこれ…。鉄ミュ2の時に「どうしようこの人もこの人も見たことあるはずなのに何一つ覚えてない…」ってなったんだよ。

これが2nd最後の戦いで、このあとドリライ*3があるけれども、物語の中の彼らはここで幕を下ろす。順番は逆転したけれど、なんだか4年越しで私は3度目の卒業を目にしてしまった気がする。それでも青学は3回目の物語が始まるし、中のキャストの人たちはここで卒業して他の舞台でまみえたわけで、全然悪くはない。

目下新青学のことを好きになれるのかという問題でとても気が重くて、チケットの入金をぎりぎりまで渋ってたのですが、私は氷帝の女と言い聞かせて入金してきた。都合のいい時だけ氷帝の女になるのでそろそろ殺される気がする。

でも新しいきっと彼らのことも好きになれたらいいと思う。せっかく足を踏み入れたテニミュの世界、あの時感じた感動に期待しながら、また全国大会決勝をこの目で見れたらいい。

青学9代目の皆さん、お疲れ様でした。これからもご活躍応援してます。

新青学の皆さん。舞台の上できらきらと輝いてくださいね。

 

 

*1:舞台「K」の初演

*2:でも関東氷帝の千秋楽はとにかく私が見てきたテニミュの中で一番凄まじいものを感じるのはあれが最後だったからかもと思う

*3:当時誘われたのに行かなかったことを死ぬほど後悔している